日常を共有する「まちかどルート」個人での開発運営からフリマ出品して引き合いが来るまで

日常のちょっとしたイベントをWebで共有して楽しめる、リアルRPG系Webアプリ『まちかどルート』について、開発者の西村 治久(ハルヒサ)さんにインタビューをさせてもらいました。


アプリの開発について、サービス開発時の技術的な課題解決、サービスの運営について、『個人開発のフリマ』上の出品について、個人の開発者ならではの情報をお話しいただきました。

以下の画像をクリック頂くとサービスサイト(https://machiroute.herokuapp.com/)にアクセスできます。



・「個人開発のフリマ」上の出品 

https://devmart.jp/businesses/4


・「開発会議」での過去のインタビュー 

https://devtalk.jp/interviews/2


まちかどルートってどんなサービス?

●まず簡単に「まちかどルート」について教えてください


西村さん 
まちかどルートはサブクエストを作って、投稿してクリアしあうサービスです。
サブクエストというのは、日常生活の中で一日一善となるようなお題です。
ユーザがそれぞれの周りからサブクエストを作っていくことができます。
まちかどルートでは日常をRPGになぞらえ、経験値を積んでいきます。
サブクエストを提案し、他のユーザがサブクエストをクリアすることで日常を共有し、日々を楽しく過ごすために作られています。
またまちかどルートでは投稿に位置情報をつけることができます。
これにより住んでいる地域や出先についての情報を共有することができる、町遊びのツールとして地域の再発見を行う側面もあります。


まちかどルートの開発の経緯と西村さんの活動について

●『ソーシャルな隠居のたしなみとしてのプログラミング』をはじめられた西村さん。


まちかどルートの開発を始めた経緯を教えてください。

西村さん
私は48歳のソーシャルな隠居です(2019年12月取材)。
社会的にはセミリタイアしている状態ですね。
20年間の会社員、フリーランスの後、コワーキングスペースを巡る旅をしました。
その後、新潟県十日町市の築100年の古民家にコミュニティを形成し、隠居しました。
住居をギルドハウス十日町として、OPENにしたところつながりが増えていき、現在までに4年半で8000人以上の人が訪れています。

隠居して自分の時間が持てるようになり、自分の時間の使い方を考えました。
『何しようかな?』
ギルドハウスに集まる人たちに刺激を受け、個人の取り組みとしてプログラミング、サービス開発をしてみようと考えました。

技術、言語の選択という意味では、まちかどルート開始前からMastodonのサーバー管理をしており、その実装言語であるRubyおよびフレームワークRuby on Railsを選んでいます。
Mastodonのカスタマイズにも役に立ち、ネット上で開発情報を集めやすいことも選択した理由の一つです。
また開始当初からマルチプラットフォームでの利用を想定してWebサービスという形を選択しています。

まちかどルートは個人としては一から開発した初めてのサービスです。
稼働後アップデートを繰り返しながら1年半くらい経過しています。
私の活動としてはまちかどルートを含め3本柱で活動しております。
・まちかどギルド:ボランティアのマッチングサイト。個人プロジェクトとして発案し、チームを作って開発運営していた
・まちかどルート:まちかどギルドのスピンオフとして、サブクエストに焦点をあて、西村さんが個人で開発
・ギルドハウス十日町:西村さんの住む新潟県十日町市の築100年の古民家を住み開きの家として運用。ある種、家族に近い生活

順番的にはギルドハウス、まちかどギルドが先にあり、まちかどルートはまちかどギルドのサブクエストをより楽しむためスピンオフという形で出発しています。


サービス開発のアイデアと技術的課題の解決


●自分で学びながら/調べながら開発を進めたということですが、どんなふうに学んで行かれたのですか。


西村さん
基本的にはまちかどルートで作りたい機能があり、それを実装するためにはどうしたらいいのかネット上から情報を集め、それを参考に開発していきました。
またギルドハウスに集まる人たちの中にはITエンジニアの方もおり、技術的なサポートをしてもらうこともあります。


●「まちかどルート」は現実のクエストとSNSをつなげた画期的なサービスだと思います。その発想はどんなところから浮かんだのでしょうか。


西村さん
ギルドハウス十日町は冒険者(RPGになぞらえ来訪者をこう呼ぶ)が集まってきます。 冒険者たちとの交流の中で、こんな機能を実装したいというネタが浮かんでくるんです。
まずは自分のコミュニティで楽しめる機能を作っていきました。
逆に万人受けするかどうかは意識していないです。 広告/宣伝もそういった理由で今は考えていません。


●SNSを使って町や場所と人をつなぐという仕組みづくりをされていますが、個人のプライバシー保護の観点など気を付けていることはありますか?


西村さん
まちかどルートは性善説に基づき現状は利用者間のモラルで保たれています。
ただ、個人的な情報は位置情報ぐらいしかなく、投稿と紐づけることが可能という形のため居住地などを特定できる形でもありません。
ある程度リテラシーがあり、位置情報の利用も楽しめる方をユーザに想定しています。
より大きなサービスになっていった場合には規約等が必要となるかもしれませんね。


サービスの運営と日々の情報収集について


●「まちかどルート」の運営について、どんな道のりでしたか?


西村さん
ユーザ数の増加はある程度想定通りに進んでいます。
無理なく少しずつ増えていった、という感じです。
一般的なサービスのようにいっぺんに増えることは想定せず、コミュニティ経由で広がっていく形になっているからです。
地域のグループやNPO、シェアハウスなど一塊のコミュニティが活性化ツールとして利用していただいていることが多いです。
また、日々バージョンアップを続けている状況でしたので、すぐに大幅に利用者が増えると困るところもありました。
サーバの負荷上昇やDB領域の利用料金等にも影響があるためです。
現在は一通り作ろうと思っていた機能が実装ができたので、ユーザを広げていくことを次のステージと考えています。


●「開発で技術的な問題が発生した場合、インターネット上で情報を調べて解決している」とお話しされてれていましたが、定期的に参照しているテックブログやこの人情報に注目しているといった対象はありますか?


西村さん
Qiita、Qrunchは毎日チェックしています。
特に自分と関係していることと関係のある「ROR」「サーバー、DB関連」「PWA」のカテゴリを特に注目しています。 
Googleニュースでパーソナライズされた情報、ピックアップされたニュースも取得していますね。 またTwitterなどのSNS、特にMastodon界隈の情報には耳を傾けています。
一方でギルドハウスに訪れる冒険者に最新の動向を聞くこともあります。
Startup Weekend(起業家コミュニティ)の新潟県コミュニティ代表をしていることもあって、そちら経由で直接知り合った人からも情報を得たりもしています。
直接の会話では、情報だけでなく刺激も受けますね。


そもそも「まちかどルート」の目的って何でしょうか?


●「まちかどルート」についてサイト運営上の目的はなんでしょうか。


西村さん
『世の中に向けて』と『個人的なもの』と両面での目的をもって運営しています。
世の中向けの目的は『サービスの運営によって世の中を明るくしたい。
冒険を提供することで地域に刺激を与えたい。』ということです。
収益化はもともとあまり考えていません。
もう一つの個人的な目的としては、『ソーシャルな隠居として、個人の生活を充実させるためにサービス運営をしています。』
個人の権限が拡張されている時代の中で、自分が何をどこまでできるのか試してみたい気持ちがあります。


「個人開発のフリマ」への出品とサービスの売却時に考えたいこと


●「まちかどルート」について、「個人開発のフリマ」に出品いただいた経緯を教えてください。また、サイト上で買い取り提案を受けたと伺いましたが、その感触はどのようなものでしたか。

西村さん

関連サイトの『開発会議』をたまたま知って利用を開始したとき、開発者であるFREERIDERさんと知り合いました。
FREERIDERさんから『個人開発のフリマ』をサービス開始したことを教えてもらい、面白そうだと感じたため、その場で登録しました。
当時は『個人開発のフリマ』は立ち上がったばかりでしたが、興味をもった方がいらっしゃり、いくつかご連絡をいただきました。
その時は5000万円の価格で出品していたのですが、これは個人でどこまでできるかを問うために価格設定しています。
それでも連絡があったときはビックリしましたね。
ドキドキ感があり、その後の開発/運営のモチベーションがとてもあがりました。


●サービスの売却をするとしたら、どんなことを重要視していますか?売却先にはどんなことを求めたいですか?

西村さん
ソーシャルビジネス的な見地を持った方と取引したいと考えています。
社会課題をビジネスの手法で解決していく、そういった生かし方ができる相手がいいですね。
その辺の観点で、今までご連絡を頂いたお相手とは売却合意までは至りませんでした。
またもう一点、現在までにかかわってきたメンバーにも利益が分配できれば、と考えています。

西村さんの今後、「個人開発のフリマ」の今後


●今後の開発者としてのご予定があれば教えてください。


西村さん
今後もソーシャルな隠居のたしなみとして、個人開発の可能性を追求していきたいですね。
楽しくやっていくための開発を続けます。


●「まちかどルート」の購入希望者にむけて一言お願いします。


西村さん
お互いに楽しくかかわれるようやっていきましょう。
ソーシャルビジネスの原則として、かかわる人すべてが楽しくできるようにしたいですね。


●『個人開発のフリマ』のようなサービスに期待すること


西村さん
個人でのアプリケーション開発およびその売買やコラボなど、伸びしろのある分野だと思っています。
その分、まだまだやり方を工夫して活発に活動してほしいですね。
アプリの開発ということ自体についてのコミュニティについては、チーム開発に持っていきすぎなのかなと思っています。

個人開発どうしのコラボレーションから協力体制が作られる形を探してみたりするのが面白いかなぁ。

『開発会議』や『個人開発のフリマ』上で開発者にランクをつけて、同一ランクユーザ同士のコラボとかしたら面白いんじゃないかなぁ。



個人の取り組みとしてサービス開発/運営に挑む、開発者に向けて大変興味深く、参考になるお話が聞けました。
ありがとうございました。


インタビュアー:コウヤマヒロシ、個人開発のフリマ

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